ニュートリノ:南極の氷利用の国際観測研究スタート
 南極大陸を覆う膨大な氷を検出装置として利用し、宇宙から飛来する高エネルギーの素粒子ニュートリノを観測する国際共同研究プロジェクト「アイスキュー ブ」がスタートした。日本から参加している吉田滋・千葉大助教授が15日、記者会見で明らかにした。ブラックホールなどから放出される高エネルギーの ニュートリノを観測し、遠い宇宙で起きている現象の解明を目指す。

 計画では、南極点近くの氷の下に、深さ約1500〜2500メートルにわたって4800個の検出器を埋める。ニュートリノが氷に衝突した際に発するわずかな光をとらえる。

 ニュートリノは、物質とほとんど反応せずにすり抜けてしまう性質を持つ。岐阜県飛騨市のニュートリノ検出装置「スーパーカミオカンデ」は、ニュートリノ が水と衝突した際に発する光をとらえるが、「アイスキューブ」は水の代わりに南極の氷を使って装置を“大型化”し、観測性能の向上を図った。

 一部の検出器が稼働し、観測は始まっている。5年後の完成時には、スーパーカミオカンデが蓄える水の約2万倍に当たる約1立方キロの氷が検出装置となる。【森禎行】

毎日新聞 2006年2月15日 19時57分
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